- 「ラストワンマイル」って何?
- ラストワンマイルの何が問題なの?
- ラストワンマイルの課題を解決する方法は?
こう思っている方に向けた記事です。
運送業界における「ラストワンマイル」とは、荷物を受け取る人との最後の接点のことです。この記事では、ラストワンマイルの課題や解決策も交えて解説します。
物流業界における「ラストワンマイル」の知識を深められるように、丁寧に解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
ラストワンマイルとは
「ラストワンマイル」とは、もともとは通信業界で使われていた用語です。通信業界における「ラストワンマイル」は、最寄りの基地局からユーザーへと繋がる、最後の通信区間を意味していました。
しかし最近では通信業界に加え、物流や交通の分野でも使われるのが一般的です。物流や交通における「ラストワンマイル」もほぼ同じ意味で使われていて、サービス提供者と顧客を結ぶ最後の区間を意味します。
ECサイトの発展や在宅勤務の浸透などの変化に合わせて、言葉の意味が狭義から広義へと変わったと考えるとしっくりくるかもしれません。
「ラストワンマイル」という言葉から「残り1マイル」といった距離の単位と捉えている方も多いかもしれません。しかしこの場合の「ラストワンマイル」は、距離的な意味ではないことを知っておきましょう。
ラストワンマイルの市場規模
矢野経済研究所の調査によると、物流市場における2020年度のラストワンマイルの市場規模は、2兆5,380億円でした。
出典:矢野経済研究所 調査結果
これは前年比127%の伸びで、2023年度はさらに1600億円多い2兆9250億円と推計されています。
ラストワンマイルの市場規模がここまで伸びたのは、世界的感染症の拡大によるものだと考えられています。在宅での生活が増えた結果、インターネットによる通販などが多く使われるようになったことも大きな原因です。
テレワークなど在宅での仕事をする方も増えたため、自然とネットショッピングを利用する機会も増えました。また外食を控える方も増え、食事を配達するサービスも広く利用されています。ラストワンマイルの市場規模が急激に伸びた背景には、現代社会の変容が関わっていることが分かります。
一度このような変化が起きるとすぐに衰退することは考えにくく、さらに発展が加速することも予想されます。それに伴いラストワンマイルの市場規模も伸びていくと見込まれます。
ラストワンマイルの3つの課題
ネット通販や食事の配達サービスにより、ラストワンマイルの市場規模が伸びた結果として悲鳴を上げている会社もあります。それはラストワンマイルの中心となる物流や配送業社です。
ここでは3つの課題として以下の3つを解説します。
- ドライバー不足
- 業務量の増加
- 経営状況の圧迫
ドライバー不足
1つめの課題はドライバー不足です。ラストワンマイルの規模が大きくなることで、実際に顧客に荷物を届けるドライバーの必要数も増加します。
たとえば集荷所から配送センターまでの運送は、荷物量が増えても車両を大きくすることでカバーできます。しかし配送センターから配送先へ荷物を届ける業務だけは、量をこなすしかありません。
1人のドライバーの業務量が増えることも、ドライバー不足を加速させる要因です。業務量が増えてもすぐにドライバーを増やすことは不可能ですので、どうしても現在働いているドライバーに頼るしかありません。
その結果、長時間労働などの条件悪化につながり、雇用確保が難しくなる悪循環も発生します。ラストワンマイルの発展に伴い、ドライバー不足は一刻も早く解決すべき課題のひとつです。
業務量の増加
ドライバーが不足していてもラストワンマイル市場は拡大を続けるため、1人あたりの業務量も増えています。配達先をドライバーごとに振り分けたとしても、受け取り先の状況によって業務量が変化します。
たとえば配達しても顧客が不在の場合は、再配達をしなければいけないケースもあります。事前に効率的なルートを計画したとしても、再配達のためにルート変更をしなければいけない場面も。
荷物を受け取ってもらえないと、再配達にするのか後日にするのかを顧客と相談する業務も発生します。ドライバーの不足に加え、業務量も増加してしまうことがラストワンマイルの課題のひとつです。
経営状況の圧迫
運送業者の経営状況を圧迫してしまうことも、ラストワンマイルの課題です。
ラストワンマイルの成長の背景には、ECサイトの競争激化があります。ECサイトも、自社サイトを利用してもらうための施策を展開します。
施策のひとつに、誰もが耳にしたことがある「送料無料」です。同じ商品を同じ代金で変えるなら、送料無料のサイトを選ぶのは当然かもしれません。
しかし運送業者も生き残るために、送料を運送業者が負担する場合もあります。生き残るために必要かもしれませんが、送料負担は売上の減少に直結します。
売上が減った運送業者が、経営を維持するために行うのが経費の削減です。削減対象にはドライバーの人件費も含まれていますので、ドライバーの賃金が上がりにくくなる悪循環が発生します。
ラストワンマイルの課題は、ドライバー個人だけでなく企業の経営も圧迫する悪循環を引き起こしており、抜け出すことが難しくなっているのが現状です。
ラストワンマイルの課題解決のためにできること
ラストワンマイルは、運送業者はもちろん顧客にとっても大きな問題です。ここでは、ラストワンマイルの課題解決のためにできることとして、以下の3つを紹介します。
- ITツールの導入
- 配送業務の効率化
- 管理業務の効率化
ITツールの導入
ITツールを導入することで、ラストワンマイルの課題を解決できるとされています。具体的には「入出庫の管理体制」をITツールで管理することで、業務コストをカットできます。
多くの運送会社では、入出庫の管理を人の手でおこなっています。そのため、どうしても連絡漏れや確認ミスが生まれてしまいます。そのため、やり直しや確認作業が必要になり、入出庫担当者の負担が増えることがコスト増につながっています。
入出庫管理にIT技術を導入することで、管理体制の改善が期待できます。入出庫を管理できる専門のツールも多く開発されていて、入出庫の管理をシステムに任せることが可能です。
入出庫管理をシステムがおこなっている間に、人間は別の作業に注力できます。さらに人間が作業していた時に発生していたミスも、ITツール導入で減らすことが可能です。
配送業務の効率化
配送業務を効率化することで、ラストワンマイルの課題を解決できる可能性があります。
多くの運送形態では、配送センターなど倉庫が分散していることもあります。そのため配送センターごとの管理が必要となり、結果としてドライバーの負担へとつながっています。また管理コストも建物ごとにかかりますので、利益を圧迫する原因にもなりかねません。
具体的には倉庫の数を圧縮することで、入出庫や管理コストを抑えることが可能です。また配送センターの運営にかかっていた、維持費などのコスト削減もできる点も魅力です。
配送拠点を圧縮するために、複数の会社と共同で運搬する「共同配送」をおこなっている会社もあります。複数の運送会社が倉庫を共同して管理し、配送も共同でおこなうことでコストの削減が可能です。
そのほかの方法としては、直接顧客へ配送せずに、コンビニでの受け取りや店頭受け取りなどのサービスを導入することも効果的です。またスーパーの近くや駅チカに専用のロッカーを設置をすることで、再配達も不要になり、配送業務を減らせます。
管理業務の効率化
ラストワンマイルは配送業者から顧客までの流れを、どれだけスムーズにするかで費用対効果が期待できます。ラストワンマイルの課題として、配送管理の業務の効率化がされていないことも指摘されています。
今、配送管理業務は人の手でおこなっている企業がほとんどです。そこで、配送管理業務システムを導入することで業務の効率が上がるとされています。
配送管理業務システムを導入すれば、トラックなどの配送中の車の状況を管理したり、配達にかかる移動やガソリン代のデータを分析し確認したりすることが可能になります。配送管理のデータをシステム化することで、コストの削減へと繋げられます。システム化とデータ管理で大きな効果を得られるでしょう。
まとめ
今回は運送業界における「ラストワンマイル」について解説しました。まとめると以下のとおりです。
- ラストワンマイルは、感染症により重要性を増した
- ドライバー不足や業務量の増加による経営圧迫などの課題がある
- 課題解決には、ITツールの利用や共同管理、配送システムの導入が有効
「ラストワンマイル」には多くの課題があり、荷主や運送業者だけでなく顧客にも大きな影響があります。社会全体の流通改善やスムーズな物流には、ラストワンマイルの改善は不可欠です。
東京の運送会社「シゲタイーエックス」では、お客様のニーズに合わせた配送が可能です。いつでもお問い合わせください。
ラストワンマイルの配送実績【当社PR】
軽貨物から2トントラックで、お客様の配送部門として配送業務を担います。