貨物の運送方法には多くの種類があります。
一つひとつの特徴を知らないと、自社のニーズを満たした適切な運送方法を選ぶのに苦労するかもしれません。
本記事では、一般貨物自動車運送事業について以下の内容を解説します。
- 一般貨物運送とは?
- 他の運送形態とそれぞれの特徴
- 軽貨物運送との違い
一般貨物運送をはじめとした物流は、産業や商業活動を支える大切な存在です。
貨物の運送方法に詳しくない方でも分かりやすいように、かみ砕いて説明します。
5分程度で読めて、一般貨物自動車運送事業について理解が深まる内容なので最後までご覧ください。
一般貨物運送(一般貨物自動車運送事業)とは

一般貨物運送とは、他人(企業など)から依頼され、運賃をもらって貨物を運ぶ事業のことを指します。
たとえば企業が工事資材やイベント機材などを運送したいとき、自動車を使って貨物を運んでくれるのが一般貨物運送にあたります。
一般貨物運送をおこなうには、国土交通大臣または地方運輸局長の許可が必要です。
許可を得るためには、以下の要件を満たさなければいけません。
要件 | 内容の一例 |
営業所 | ●契約期間が2年以上か●賃料、面積などが記載されているか |
休憩・睡眠施設 | ●イスや事務机、書類などの保管スペースがあること●睡眠時に、乗務員1人あたり2.5㎡以上の空間を確保すること |
資金の確保 | 1年間は売上が少なくても事業を続けられるように、約1,000~2,000万は確保しておく |
人員の確保 | ●運行管理者(運行管理者の資格保有者)●整備管理者(3級以上の整備士資格)●運転者(自動車に応じた免許) |
事業用自動車の確保 | 最低5台を確保すること |
損害賠償能力 | ●自賠責保険、任意保険への加入対人賠償額→無制限対物賠償額→200万円以上/事故 |
ちなみに使用する車両が「三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車」の場合は、軽貨物運送に該当します。
トラックで大量に貨物を運ぶのが、一般貨物自動車運送事業の特徴です。
主に企業からの依頼に対し、安全で効率的な輸送サービスの提供が求められています。
トラック運送事業の種類

荷主側として貨物の運送を依頼する際、どの事業者にお願いするか迷う方もいるのではないでしょうか。
トラックでの一般貨物自動車運送事業は、以下の3つに分類されます。
- 一般貨物自動車運送業
- 特定貨物自動車運送事業
- 貨物軽自動車運送事業
それぞれの特徴を解説しますので参考にしてください。
一般貨物自動車運送業
一般貨物自動車運送業は、トラックなどの車両で荷主のニーズに応じて貨物を運送する、一般的な方法です。
専門の運転手や物流のプロが、適切な車両とルートを選び貨物の集荷から配達までを手配します。
運ぶ貨物の一例は以下のとおりです。
- 建築現場の資材
- イベント時の機材
- 引っ越しの荷物
- 小売店の商品
さまざまな貨物を効率的に運ぶことで、企業などのビジネスを支える存在です。
多くの運送業者では貸切での運送が中心ですが、複数の企業の貨物を積み合わせて運ぶことも可能です。
積み込みや配送の方法によっては、下記の2つに該当する場合があります。
➀特別積合せ貨物輸送
➁貨物自動車利用運送
特別積合せ貨物輸送
特別積合せ貨物輸送は、以下の条件で運送する方法です。
- 営業所を起点にして仕訳などを行う
- 集貨された貨物を定期的に運送する
- 1と2を自社で行う
一般の積合せ運送と異なり、いったん営業所に貨物を集めて、定期的に運送する方法を「特別積合せ貨物輸送」と呼びます。

大量の小口荷物を運送するのに適していて、物流センターから小売店へ商品を運送する際などに利用されています。
ちなみに、個人宅へ荷物を届ける「宅配便」は、特別積合せ貨物輸送の方式がとられています。
貨物自動車利用運送
貨物自動車利用運送は、運送業務を受託した企業が別の運送業者に委託して貨物を運ぶ方法です。
たとえば、トラック運送会社が他のトラック運送会社の車両を使用して貨物を運ぶ場合が、貨物自動車利用運送にあたります。
そのため、トラックの所持台数が少ない・そもそも運送手段を持たない運送事業者がおこなえる運送業です。
トラックに対する出資(維持費・購入費・メンテナンス)を抑えることで、コストを抑えた運送事業を実現しやすいといえます。
別の運送業者とは、トラックに限らず以下の方法でも認められています。
- 船舶
- 航空機
- 鉄道
特定貨物自動車運送事業
特定貨物自動車運送事業は、特定企業の貨物を専門的に運送する事業を指します。
メーカーなどの特定企業1社から受託し、製品の工場間運送における集荷から配送までを担当します。
特定の企業の貨物を運びますので、社名や製品広告がペイントされた車両でおこなっているケースも多くみられます。
また一般貨物運送事業とは異なり、運送約款の認可が不要などの特徴があります。
貨物軽自動車運送事業
貨物軽自動車運送事業は、軽トラックやバイクを使って貨物を運ぶ事業です。
自動車に乗っている人なら一度は見たことのある、黒いナンバープレートの車が貨物軽自動車運送に使用されています。
インターネット通販で買い物をする人であれば、軽貨物運送事業者から貨物を受け取ったこともあるかもしれません。
主な業務は、貨物の受け取り・積み込みをはじめ、輸送ルートの選定・貨物の配送・受け渡しです。
貨物軽自動車には、重量・サイズなどに制限があるため、小さな貨物や短距離の輸送に適しています。
参考記事:【積載量】軽貨物が積める荷物はどれくらい?具体例つき
また小さい貨物の輸送や急な配送にも対応していることから、他の運送事業よりも柔軟性が高い点も特徴です。
一般貨物運送と軽貨物運送との違い

一般貨物運送と軽貨物運送にはどのような違いがあるのでしょうか?
ナンバープレートや貨物の制限など、それぞれの特徴を比較しましたので参考にしてください。
表:一般貨物運送と軽貨物運送の比較
項目 | 一般貨物運送 | 軽貨物運送 |
ナンバープレートの色 | 緑 | 黒 |
使用車種 | ・大型トラック・普通貨物車(4ナンバー)・小型貨物車(1ナンバー)・普通貨物車(8ナンバー) | ・軽トラックやバンなどの軽貨物車・バイク(125cc以上) |
貨物の制限 | 重量制限なし | 最大積載量350kg |
開業方法 | 運輸局(地方)へ申請→国交省または運輸局で審査、許可を受ける | ・運輸局(地方)へ申請・軽貨物車と駐車場の準備 |
事業者の例 | ・大規模な運送会社・フリーランス | ・小規模な運送会社・個人事業主 |
要件 | ・1営業所につき、最低5台以上のトラック・トラックの台数以上の運転手・許可が必要 | ・任意保険加入・許可不要(届出のみ) |
一般貨物運送と軽貨物運送の大きな違いは、柔軟性です。
一般貨物運送では大きな車両を使用しますので、入り組んだ住宅街が苦手なケースがあります。
軽自動車なら狭い道でも比較的スムーズに運送できますので、配送先の状況に関わらず貨物を届けられます。
また軽自動車は、普通免許で運転できる点もメリットです。
たとえば急きょ貨物を運ばなければいけない時、大型免許や中型免許を持っているドライバーを見つけるのは難しいかもしれません。
その点、普通免許を持っているドライバーなら比較的簡単に確保できます。
しかし軽自動車には積めない、大きな貨物や大量の貨物を運ぶときは一般貨物運送の方がニーズを満たせるでしょう。
自社の運送ニーズを把握し、それぞれの特性を理解することが大切です。
まとめ
本記事では、一般貨物運送について、軽貨物運送の違いやトラック運送事業について解説しました。
一般貨物運送は、荷主の依頼に対して報酬を受け取って貨物を運ぶ、一般的な事業形態です。
一方で軽貨物運送は軽自動車を使った事業で、高い柔軟性が大きな特徴です。
両方の特徴を把握し、場合によって使い分けることがムダなコストの削減につながります。
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